コシノハゼの生息地の発見と飼育

2020年3月
展示課 田村広野

コシノハゼGymnogobius nakamuraeは、新潟県と山形県に生息するハゼ科ウキゴリ属の淡水魚です。以前は、ジュズカケハゼ鳥海山周辺固有種と呼ばれていましたが、1907年に新潟県長岡市を基産地として新種記載されていたコシノハゼと同種であることが判明し、現在は、コシノハゼが標準和名に用いられています。環境省のレッドリストでは、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧ⅠA類に評価されています。また、2019年に国内希少野生動植物種に指定され、「種の保存法」に基づき、捕獲や譲渡等が原則として禁止されています。
当館では、新潟県内の生息地の把握と生態の解明を目的に、環境省より捕獲等の許可を得て、2019年7月より調査を行っています。採集調査と採集個体のDNA解析による種判定により、新潟県下越地方の3箇所の溜池で生息を確認しました。さらに採集個体の一部を飼育することで、底砂に頻繁に潜り込む、夜間に活発になるなどの行動生態が明らかになりました。

コシノハゼ

生息する溜池

砂に潜る2個体(黒線楕円内)

夜間に活発になる

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