カマイルカの出産前後の行動観察におけるiPadの活用

2025年 JAZA 第51回海獣技術者研究会

展示課 小林泉美,小川みはる,松本輝代,渡邉拓也,石田茉帆,石川訓子

 新潟市水族館マリンピア日本海では,2019年から4年連続でカマイルカAethalodelphis obliquidensの出産があった.この4例全てにおいて,出産前と出産後6-9ヵ月にわたって母子の行動観察を行った.最初の3例では紙の観察シートを使用して記録したが,シートの保管スペースが必要,デジタルデータに変換しないと行動変化の可視化が難しい,集計の際の入力作業に膨大な時間がかかるといった問題があった.これらの問題解決を目的に,2022年の出産の際は,紙の観察シートに加えてiPadのカウンターアプリを導入した.任意のカウンターを作成でき,カウンターを押した回数を記録できるアプリは多くあったが,カウンターに自由に数字を入力できる点やデータをすぐにExcelに変換できる点などから,「カウンター‐統計学、習慣追跡」というアプリを選定した.導入の結果,記録用紙の大幅な削減と,記録がすぐにグラフ化されることで行動変化の可視化が即座に可能となった.さらに,iPad内に履歴が全て保存されるため,入力作業不要で記録をデータとして保存可能となった.それに加えて,カウントした履歴全てをExcelデータとして扱えるため,容易に過去のデータとの比較をすることができた.しかし,カウンターの位置が意図せず変更されるなどアプリ内での問題や,Excelに変換する際に文字化けが起こること,24時間観察の場合,複数のタブレットが必要で,同期に手間がかかることなどの問題も見られた.カウンターアプリの導入はデータ管理の面では効果的だったといえる.今後は行動観察の記録手段として,iPadならびに紙の観察シート双方のメリットを活かした最適な運用方法を検討していきたい.


     
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