新潟県柏崎市におけるウミウシ類の出現状況とその年変動

2025年 日本ウミウシ研究会第2回情報交換会

展示課 清水哉多,原田彩知子,石岡勇剛,大越智香

本研究では、新潟県柏崎市におけるウミウシ類の出現状況の把握・過去の記録との比較および環境変化との関連を検討することを目的とし、2021~2025年の5年間にわたり調査を行った。
調査は柏崎市石地のアマモ場を有する海岸において、1~4か月に1回の頻度で実施した(計29回)。調査は基本2名、タモ網を用いて約1時間採集を行った。また出現種の把握のため、ウミウシの種・個体数を記録したほか、環境要因との関係を考察するために水質やアマモ場の被度も記録した。個体数の年変動を評価するため解析はCPUEを用い、出現時期などは過去の記録(臼杵, 1969; 1970)と比較した。
調査期間中に確認されたウミウシ類は、頭楯目1種、嚢舌目2種、裸鰓目6種、アメフラシ目8種の計17種であった。多くの種は出現頻度が低かったものの、アメフラシは通年確認された。一方、アオウミウシは5~7月の暖候期にのみ出現し、通年確認されている過去の記録とは異なった。また、年ごとのCPUEに大きな変化は見られなかったものの、ウミナメクジは減少傾向を示し、2025年には確認されなかった。また、ウミナメクジの生息基質であるアマモ場も2021年に比べると衰退傾向にあり、調査期間を通じて夏季の顕著な高水温が確認された。
アオウミウシの出現時期は過去の記録と異なっていたが、これは調査地点や水深の差異に起因する可能性が高く、ウミナメクジの減少については、生息基質であるアマモ場が海水温上昇に伴い衰退したことが影響した可能性が高いと考えられる。
本調査地では過去に新潟県で記録された種組成と大きな変化は確認されなかったが、海水温上昇が生息環境(アマモ場)の衰退を通じてウミウシ類に間接的な影響を及ぼしている可能性が示唆された。


     
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