動物園水族館雑誌投稿論文

水槽飼育のウケクチウグイに見られた単性類フタゴムシの一種の寄生

動物園水族館雑誌Vol.38No.3 1997

展示課 進藤順治

【要旨】
ウケクチウグイ Tribolodon sp. は秋田県南部から新潟県の日本海に注ぐ大きな河川に限られて生息し、ウグイ属の中では最も大きくなり、レッドデーターブックで危急種に分類され絶減の恐れのある種である。本館ではウケクチウグイを信濃川に生息する生物として、また種保存の啓蒙活動として飼育展示している。
1995年8月、飼育下のウケクチウグイにフタゴムシの一種Diplozoon sp. の寄生による重度の貧血症が発生した。Diplozoon 属は単性類に分類され、淡水魚の鰓に寄生し、虫体がX字状に合体結合した特徴的な形態を呈する寄生体である。  日本にはコイ、フナに寄生するフタゴムシ Diplozoon nipponicum とウグイ属に寄生するフタゴムシの1種Diplozoon sp. の2種が知られている。
フタゴムシ寄生魚が低色素性小球性貧血を起こすことが自然発生例で報告されているが、フタゴムシの1種である本寄生虫の飼育下での発生例は報告されていない。
今回、新潟市水族館で飼育中のウケクチウグイにフタゴムシの1種の寄生が見られたので、その経過と病態について報告する。
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フンボルトペンギン用保定器具の開発による性判別の試み

動物園水族館雑誌Vol.33No.4 1991

展示課    山崎幸雄,大和 淳,山田 篤,西脇功一

【要旨】
フンボルトペンギン Spheniscus humboldti は、いわゆる雌雄同形で、外見からの性判別が困難な鳥種の一つである。このため、本種の性判別のために諸種の方法が開発、検討されてきた。フンボルトペンギンの飼育経験者は、ペアを形成した個体についてその性行動から性別をある程度推測することができる。また、嘴や体部の大きさの差を統計的に検討し、性判別を試みることも行われているが、これらはいずれも決定的なものではない。針状内視鏡や染色体検査、糞尿中ステロイドホルモン分析による性判別法は一部の種類で応用されているが、特殊な器具や施設を必要とするため、一般の飼育現場では実用的ではない。最も簡便な方法のひとつであるペンギンの総排泄腔観察による性判別法は、 S1aden,Samour et al.により報告された。この方法は,総排泄腔内にある卵管開口部や、乳頭状突起を、簡易な器具を用いて直接観察し性判別を試みるものであり、国内でもすでに一部園館で応用されている。しかし、本技術も、観察時にペンギンが暴れるため麻酔を必要とする場合があるという欠点がある。

そこで、今回我々は、ペンギンを無麻酔下で安全に保定し、総排泄腔観察による性判別ができるように保定器具を開発した。以下に、この保定器具と総排泄腔観察の概要を報告し、本邦におけるフンボルトペンギンの飼育下繁殖向上のための参考に供したい。
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