2026年 のと海洋ふれあいセンター研究報告 第31号
清水哉多,石澤佑紀,石川訓子(新潟市水族館)
ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum De Haan, 1849は、南西諸島から本州中部以南に生息するテナガエビ科テナガエビ属の一種である(豊田ら, 2014)。日本海側における東限記録は石川県とされており(丸山, 2017)、新潟県のテナガエビ属の記録はテナガエビMacrobrachium nipponense のみで、本種はこれまで報告されていない(林, 1976; 新潟県, 2001; 丸山, 2016)。
筆者らは 2025 年 6 月 10 日および 7 月9日に新潟県佐渡市内の河川でヌマエビ類の採集を行った際、本種と思われる個体を採集した。採集時の全長は約 2 cmの小型個体だったため確実な同定ができなかったが、その後、形態的特徴が明瞭になるまで飼育を行い、2025 年 10 月に 2 個体をヒラテテナガエビと同定した。このうち 1 個体は氷冷麻酔後、70%エタノールで固定し、液浸標本として新潟市水族館に収蔵した。
今回得られた個体は、日本海側における東限記録および新潟県での初記録となるため、標本に基づきここに報告する。
本種は幼生期に海域で分散する生活史をもつことから、対馬海流による分散の可能性が考えられる。また、近年の海水温上昇や同様の生活史をもつ他種の記録を踏まえると、分布域の北上傾向も示唆され、今後も継続的な調査により生息実態の把握が必要である。
