2026年 のと海洋ふれあいセンター研究報告 第31号
清水哉多,原田彩知子(新潟市水族館)
アオブダイScarus ovifrons Temminck and Schlegel, 1846 はブダイ科アオブダイ属の一種である。本種は東シナ海を含む北西太平洋の亜熱帯から温帯域を中心に広く分布する(中坊, 2013)。日本海側における本種の記録は少なく、山口県萩市や長門市(園山ら, 2020)、京都府(奥ら, 2023) で発見例がある。また、北限は京都府とされており(奥ら, 2023)、新潟県での採集記録はないが、2022年に新潟県柏崎市西山町沿岸でアオブダイを3個体採集した。今回採集した個体は新潟県での初記録および北限記録となるため、飼育個体に基づきここに報告する。
日本海側では暖水性生物が対馬海流によって偶発的に輸送されることが知られており(本間ら, 2009)、多くは再生産せずに死滅する無効分散種である。新潟県内でも過去に本種の記録がないことから今回の個体も対馬海流によってより南方から偶発的に流されてきた無効分散種であることが考えられる。一方で、近年の海水温上昇に伴い本種の分布域の北上が指摘されていることから(Sudo et al., 2022)、本記録は定着過程の初期段階を示す可能性もある。今後も継続的な調査により、新潟県沿岸における暖水性魚類の動向を把握する必要がある。
