新潟県の地すべり地を中心としたため池の生物相および魚類相について

2025年 ゴリ研究会

清水哉多(新潟市水族館)
大関佑弥,指村奈穂子,小林幸平(水辺カオス)

本研究では,上越市の地すべり地にあるため池50箇所を対象に,水生生物相を調査し,環境条件との関係を解析することで,地すべり地が水生生物相に与える影響について考察した。調査は2024年5—10月にかけて実施した。タモ網やカゴ網を用いて水生生物相を把握するとともに,環境要因として水温,溶存酸素量,pH,水面の浮葉植物と抽水植物の被度も測定した。また,地すべりの影響を評価するため,調査地点から半径1km以内の地すべり移動体面積を算出した。
その結果,43科90種の水生生物を確認し,種数が多い分類群から順に昆虫類58種,両生類10種,貝類9種,魚類9種であった。その結果、地すべり移動体面積と在来種数とは正の相関が,外来種数とは負の相関がみられた。分類群に注目すると,特に昆虫類では種数との間に正の相関,魚類では負の相関がみられた。このことから,地すべり地は,人が利用する以前から既に湿地環境が形成されていること,アクセスの悪さにより外来種が持ち込まれる頻度が低いことなどの要因により,高い生物多様性が維持されていると考えられた。一方で魚類の種数は地すべり地で少ない傾向がみられた。地すべり地にあるため池は川をせき止めて作られたため池が少ないこと,周辺河川と直接的なつながりが少なく,河川から魚類が行き来することが困難であることなどが要因と考えられた。


     
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