2024年 日本環境教育学会第35回年次大会
副館長 大和淳
1.はじめに
「新潟市水族館マリンピア日本海」は、1990年7月に開館した水族館である。2012年9月から翌年7月中旬に行われたリニューアル工事の際、屋外に「にいがたフィールド」という新潟の水辺をモデルにしたビオトープを造成した。にいがたフィールドには「平野部の砂丘湖」「里山のため池」「小川」「湧水」という“自然環境”と共に“人工環境”である「田んぼ」を造成した。
本発表は、“米どころ新潟”の市民を対象に2013年から毎年実施している「田んぼ体験プログラム」で、発表者が主担当であった2013年から2022年の10年間(2020年はCOVID-19流行で中止)について、地域に根ざした環境教育の実践例として報告する。
2.実践研究としての問題意識と目的
水族館の役割として「環境教育」があげられているが、実際は理科教育的なものが多く、環境教育の実践報告は多くない。また、対象は小学生以上の児童生徒を対象としたものが多く、未就学児や大人を対象としたものが少ない。そのため、以下を目的とする。
・毎年実施するプログラムであることから、実践例としてデータの蓄積。
・未就学児や小学校低学年の子どもとその保護者(大人)への地域に根差した環境教育プログラムとしての評価の試み。
3.プログラムの概要
公募で当選した4歳以上のプログラム参加者(10年間で88組220人)を対象に、2015年までは「田植え」「稲刈り・稲架掛け」「脱穀」の3つの体験、2016年から2022年はそこに「わら細工」を追加した4つの体験を実施。水族館らしさとして、田植えなどの際にも水を抜かず、田んぼにメダカなどの生きものが生息している状態で行った。
4.方法
田植え後と全プログラム終了後の2回、質問紙調査を実施。量的および質的な分析を行った。1回目の回収率は85.9%、2回目は71.6%であった。
5.主な結果と仮説
・田んぼに生きものがいることで感じられる生きものとの共生の意識が醸成された。
・コメ作りや食べ物の大切さを考えるきっかけとなった。
・地域の文化を体験することの大切さが認識された。
・子どもと体験することで大人にも環境教育的な学びがあるのではないか。
