2005年 第31回海獣技術者研究会
展示課 ○新田誠,加藤治彦,進藤順治
新潟市水族館では、鯨類の繁殖生理研究の一環としてカマイルカ(2001年1月29日野生捕獲、雄、体長220㎝、体重120㎏)の血液中テストステロン(Tng/dl,以下T)と尿沈渣精子数(S個/HPF、以下S)の測定を定期的に実施している。
採血は月に1-2回行い、Tの増加が確認された後は週に1回とし、採尿は週1回の間隔とした。 採血は2003年1月13日-2004年12月14日、採尿は2003年1月8日-2004年12月2日の約2年間実施し、血液37検体、尿100検体の試料を得た。 血液はヘパリン処理をして血漿に遠心分離後、Tの測定を臨床検査機関へ依頼した。尿は尿沈渣を鏡検し、1視野400倍(HPF)の精子数を数えた。
Tの変動範囲は2003年が29-1158、2004年が35-4700であった。 2003年では7月上旬、2004年では6月下旬に急激に増加し、両年ともに7月に最大となり9月上旬に減少する傾向が見られた。 Sの変動範囲は、2003年が0-100<、2004年が0-494であった。2003年では7月上旬に出現し、8月下旬と10月上旬に100<を最高値とする増減を反復し、 11月中旬まで出現した(0.01-100<)。2004年では5月中旬に出現し、8月上旬と9月上-中旬に494を最高値とする増減を反復し、12月上旬まで出現した(0.02-494)。 尿沈渣精子は血中テストステロンの急激な増加後、35-49日遅れて高濃度で出現し、血中テストステロンの減少以降も21-48日間、不規則な増減を伴いながら出現することが認められた。
精子採取