イルカQ&A

展示課 山際紀子、長谷川泉、石田祐子

マリンピア日本海ではイルカショー終了後に、お客さまからの質問にお答えしています。 これまでに2万9千件もの質問が寄せられました。今回は、その中でも特に多かったものをみなさんに紹介しましょう。

第1位
イルカの寿命は?
第6位
高いジャンプの秘密は?
第2位
プールの深さは?
第7位
デビューまでのトレーニング期間は?
第3位
イルカも眠るの?
第8位
イルカのトレーナーになる方法は?
第4位
年令は?
第9位
イルカショーの代表に選ばれるコツは?
第5位
トレーニングの方法は?
第10位
イルカはどこからやってきたの?

 

第1位 <イルカの寿命は?>

野生動物の年齢を知るのは非常に困難ですが、 アメリカ(フロリダ州サラソタ)で野生ハンドウイルカの長期追跡調査を行い、 得られた研究データがあるので紹介します。 これによると年令構成は0~50才(うち15才以下 58%・・・1988年)、 死亡時の平均年令は7.5才です。
さて、「寿命」という言葉ですが、ヒトの場合と野生動物の場合を区別する必要があります。 なぜかというと、ヒト(特に現代の先進国・・・日本を含む)の場合、あまり若いうちに死亡することは少なく、 多くの人がある年令(例えば80才位)まで生きて、ごくまれに更に長生きする人がいます。 一方で、野生動物の場合は若いうちに死亡する多くの個体がいて、少数の長生き個体がいるというのが通常です。 したがって、野生動物の方が平均と最長「寿命」の差が大きいということに気をつけなければいけません。
上記の場合、ハンドウイルカの「平均寿命」は7.5才、「最長寿命」は50才以上となります。

第2位 <プールの深さは?>

マリンピア日本海のイルカプールは4つのプールが一列につながって構成されています。 イルカショーは、春~秋にはショープール、冬は屋内プールにて開催しています。 全てのプールを日常的にトレーニングや健康管理で使用しています。
プールの深さ等は図をご参照ください。

イルカプールの仕様 図表

第3位 <イルカも眠るの?>

一般に「睡眠」とは動物の活動水準が低下している状態をいいます。 ヒトは、夜間、まとめて長い睡眠をとりますが、 野生動物(特に草食動物)の場合は、眠っている間に襲われる危険があるので、浅く短い睡眠を何度もとります。
イルカは魚食性の動物ですが、夜間または日中にゆっくりと泳いだり、水面に浮かんだりしているときに、 おそらく睡眠をとっていると考えられます。 まぶたは閉じているときも開いているときもあり、片方の目だけ閉じていることもあります。 片目を閉じ、脳を片方ずつ休ませることができるという説もあります。 また、飼育下ではプール底に体を横たえて休息(?)をとる様子も観察されています。 眠っていても水面へと浮かびあがってきて鼻(噴気孔)で空気を呼吸をします。

第4位 <年令は?>

マリンピア日本海で飼育中のイルカは、ハンドウイルカとカマイルカです。 いずれも野生からやってきた個体なので正確な年令はわかりません。 捕獲時の大きさから、飼育年数+2~3才程度以上と推測されます。

種 名
愛 称
捕獲年
推定年令(2017年現在)
ハンドウイルカ
キャンディー
1988
30才程度以上
ハンドウイルカ
ラン
2000
20才程度以上
ハンドウイルカ
アイ
2000
20才程度以上
カマイルカ
(オス)
2001
20才程度以上
カマイルカ
(メス)
2007
13才程度以上
カマイルカ
(メス)
2015
20才程度以上
カマイルカ
(メス)
2015
4才程度以上

第5位 <トレーニングの方法は?>

イルカのトレーニングにはオペラント条件付けという行動形成法を用います。 行動形成は、もともとイルカが自然に持っている能力や行動を引き出してショーでわかりやすく示すことと、 健康診断や調査研究に用いること等を目的に行います。 トレーナーは、ある行動をいくつかの細かい段階に分けて訓練し、形成していきます。
ここではターゲットジャンプのトレーニングを紹介します。

~ターゲットジャンプが出来るまで~
水面にボールを浮かせ、近付いて触れるのを待ちます。
ボールに触れたら笛を吹いてごほうびの餌を与えます。
1
ボールを少し高い位置に上げると、 伸び上がって触れるようになります。ボールに触れた直後に笛を吹き、トレーナーの前に戻ってきたら餌を与えます。
2
さらにボールを高い位置に上げると、 体を空中に出してボールに触れるようになります。ボールに触れた瞬間に笛を吹きます。少しずつボールの位置を高くし、サインをつけるとターゲットジャンプの完成です。
3

オペラント条件付けは、イルカに限らずさまざまな動物(もちろんヒトも)に対して利用できます。好ましい行動が見られたときには、すぐほめることが大切です。 ヒトに対しては、物(食物・お金・玩具など)、言葉掛け、接触(撫でるなど)と、ほうびもいろいろあります。

第6位 <高いジャンプの秘密は?>

尾ビレを上下に振る動きはドルフィンキックといいます。 体長の3分の1を占める尾部は大きく強い筋肉の束でおおわれ、尾ビレを上下に振る動きは特に強力です。 イルカはジャンプする直前に、水面下を勢いよく泳ぐことで推進力を得ます。 そのため、水深やプールの表面積、形状によってジャンプの高さは変化します。マリンピア日本海のイルカショープール(水深4m)では6mのジャンプを見ることができます。

第7位 <デビューまでのトレーニング期間は?>

トレーニング期間は個体や飼育環境、トレーナーの熟練度等によってさまざまです。
マリンピア日本海のイルカ6頭でも約6ヵ月~2年と、デビューまでにはずいぶん個体差がありました。イルカに対し、言語を使ったコミュニケーションは不可能ですし、 又、動物ですから、常にトレーナーの予測どおりの行動をするわけではありません。 「前日に目標のレベルに到達したのに、翌日は全くできない」という場合もあり、 トレーニングを始めのレベルに戻すことは日常茶飯事です。
トレーナーは、オペラント条件付け理論に基づき、 担当する個体に合うトレーニング方法を試行錯誤しながら日々実践しています。

第8位 <イルカのトレーナーになる方法は?>

イルカのトレーナーは職種としては特殊で、普通は退職などによる欠員や新施設が出来る時にしか募集はありません。雇用形態も正職員から期限付きアルバイトまで、水族館によってさまざまです。 マリンピア日本海の場合、現職トレーナーの最終学歴は大学院卒・大卒・専門卒・高卒の場合もあり、 特に資格は必要ありません。 しかし、どの進路に進めば確実になれるというものでもありません。 また、イルカだけを飼育する施設は少なく、他の生物も飼育している園館がほとんどです。 「イルカトレーナー」という限定した業種としてではなく、 他の生物を担当する場合もある「飼育係」としての募集となります。 基礎学力はもちろん、論理・積極・社交性、判断・実行・運動能力などを高めておくことが大切です。
マリンピア日本海は、公益財団法人海洋河川文化財団という団体が管理者に指定されています。 従って職員の採用は、欠員が生じた場合に、公益財団法人新潟市海洋河川文化財団で決定し、募集する場合は、当ホームページでお知らせします。

第9位 <イルカショーの代表に選ばれるコツは?>

本人が参加する意志を持っていて、一人でもサインが出せるかがポイントです。 イルカを目の前にして、その迫力に圧倒され動けなくなってしまう場合もあります。 また、言葉の通じない生きものが相手ですから、突然の動きは予測できません。 トレーナーの指示と違う動きは、イルカの混乱を招くこともあります。 説明を理解し、未体験者にも感触を伝えるため感想を述べることができる方皆さんに代表のチャンスがあります。

第10位 <イルカはどこからやってきたの?>

マリンピア日本海ではハンドウイルカを3頭、カマイルカを2頭飼育しています。
ハンドウイルカの捕獲地は太平洋(和歌山県)です。 カマイルカは日本海(石川県)の定置網(一定の場所に設置して魚をとる網)にて混獲された個体です。 衰弱していたので保護し、治療を施しました。
イルカ用特製担架(胸ビレ部分に切れ目があり、羊毛で内張りされたもの)などで体を支え、 シャワーをかけて体表が乾かないように注意しながらトラックで慎重に輸送しました。