アオウミガメの甲羅壊死症の治療

2013年 両生類爬虫類会議

展示課 岩尾一,原田彩知子

【症例1】
2010年1月9日(第1病日), 1頭のアオウミガメの背甲辺縁部で重度の壊死, 感染が生じていたため, 壊死組織のデブリドマン, 経口および筋肉注射での抗生剤投与を行った(ERFX 10mg/Kg 筋肉内注射, OFLX 20mg/Kg イカに入れての経口投与). 第1病日より, 継続的に病変部の状態を, グラム染色による細胞診でモニタリングしたところ, 大量に出現していたグラム陰性菌および白血球が, 抗生剤投与開始翌日から減少, 消失していることを確認したが, 第10病日より細菌が再出現したため, 第11病日に同じ方法でのOFLX投与を実施した. その後, 第20病日以降も細菌の出現はなかったため, 治療終了とした.

【症例2】
2012年5月15日(第1病日), 同個体が, 同居他個体からの咬傷で, 背甲の辺縁部に複数の壊死病変を生じたため, 前回同様にデブリドマン, 抗生剤投与(OFLXはLVFX 20mg/Kgに変更)を行った. 病変部のグラム染色によるモニタリングも同様に実施したが, グラム陰性大型連鎖球菌と白血球がERFXとLVFXの投与開始後も出現していたため, 細菌の染色態度, 使用抗生剤のスペクトラムから嫌気性菌関与も疑い, メトロニダゾール投与も第2病日より追加した(10mg/Kg PO 2日に1回). メトロニダゾール開始翌日より, 細胞診所見は改善した一方, 下痢が発生した. 下痢は整腸剤(ビオフェルミンS 5錠 Bid PO)の併用で著しく改善した. ERFXとLVFXの投与は初日のみ, メトロニダゾールは第22病日まで投与して, 治療を終了した.

【考察】
アカウミガメでは, イカに入れてERFXを20mg/Kgで経口投与すると7-10日間, 治療に十分な血中濃度が維持されることが判明している(Jacobson Et Al, 2005). 今回のアオウミガメの症例で用いた同系統のOFLX, LVFXでも同様の効果があったと考えられた. また, 局所の細胞診は治療効果判定に有用であった.