バイカルアザラシの人工哺育

2006年 第32回海獣技術者研究会

展示課 ○栗城智香、新原扶美佳、吉田直幸、野村卓之、進藤順治、山崎幸雄

バイカルアザラシ Phoca sibirica が新潟市水族館において、国内で初めて飼育下繁殖し、人工哺育に成功したので報告する。飼育環境は、水槽6×5×1.5(D)m、50立方メートル、陸場13.8㎡の規模で、開放重力式濾過槽を備え、水温9-18℃、室温8-19℃で変化した。母獣は1990年7月2日に推定年齢0歳で搬入された雄1頭と雌2頭の内の1頭。2001年より交尾行動が観察され、2004年に死産の経験がある。出産時16歳で、11月頃より体重増加が見られ、経過を観察した。仔獣は2006年4月18日朝に展示室の陸場で発見された。胎盤は陸場に排出されており、490gだった。育仔行動が見られなかったため隔離し、人工哺育を開始した。授乳はビニールホース(内径5mm,外径7mm)を使用してミルクを胃内に流し込む方法をとった。母獣より採取した乳汁2mlを初回に与えた。ミルクは4-6回/日、340-1080ml/日、526-3007kcal/日(0日齢-36日齢)を与えた。市販の子犬用ミルクと水生哺乳動物用粉ミルクを用い、段階に応じてマグロ肉、マアジ肉を混合し、その後はマアジを与えた。仔獣飼育室の温度は15-21℃、水温は14-19℃の範囲にあった。

出生時の仔獣の体長は約63cm、体重は3.86kgであったが、15日齢で7.88kg、36日齢(断乳時)には11.9kgに達した。新生仔毛の換毛は10日齢頃から始まり、25日齢頃に終了した。39日齢より自力摂餌が可能となり、52日齢より展示室へ移動した。9月2日現在、体重20.28kgと順調に成育している。