【要旨】
ウケクチウグイTribolodon sp. は秋田県南部から新潟県の日本海に注ぐ大きな河川に限られて生息し、ウグイ属の中では最も大きくなり、レッドデーターブックで危急種に分類され絶減の恐れのある種である。
本館ではウケクチウグイを信濃川に生息する生物として、また種保存の啓蒙活動として飼育展示している。
1995年8月、飼育下のウケクチウグイにフタゴムシの一種Diplozoon sp. の寄生による重度の貧血症が発生した。
Diplozoon 属は単性類に分類され、淡水魚の鰓に寄生し、虫体がX字状に合体結合した特徴的な形態を呈する寄生体である。
日本にはコイ、フナに寄生するフタゴムシDiplozoon nipponicum とウグイ属に寄生するフタゴムシの1種Diplozoon sp. の2種が知られている。
フタゴムシ寄生魚が低色素性小球性貧血を起こすことが自然発生例で報告されているが、フタゴムシの1種である本寄生虫の飼育下での発生例は報告されていない。
今回、新潟市水族館で飼育中のウケクチウグイにフタゴムシの1種の寄生が見られたので、その経過と病態について報告する。 |